富士北稜高校 五味光仁先生

かえる舎が活動を開始した山梨県立富士北稜高校。
地域を支える人材を輩出し続けている工業も商業も何でも学べる総合学科高校です。
5年前に連携がはじまり、授業や課外活動など多くの生徒と地域での実践的な活動を行ってきました。
学校での活動ができていた影にはいつも助けてくれる先生方のご支援がありました。
五味光仁先生は富士北稜高校の工業科の先生で、5年前から総合の授業を主任として切り盛りしてくれています。
五味先生なくして、今のかえる舎はありません。
今回は、そんな家業はノコギリ屋、工業科一筋の五味先生と、地域学習支援のかえる舎がどのように活動を進めてきたか、ふりかえります。

五味光仁先生→五味先生
かえる舎→かえる


地域に貢献できる人材を輩出する学校

五味先生
かしこまってヤダな。(笑)
うまいことまとめてよね。

かえる
いつも通りで大丈夫です(笑)

五味先生
印象に残っていることから話そうかな。
最初は、5年前、2016年だよね。
商店街のポスター作りをやったよね。
あの時は、かえる舎が有志の生徒を地域にひきつれ、取材をして、ポスターを作ってくれた。
あの時、印象にのこってるのは、最後の生徒たちのプレゼンかな。

ポスター製作時の発表会の様子

五味先生
ポスターの出来と生徒たちのプレゼンの表情がとても良くて。今もポスターは残っている。
校長先生も気に入っていって下さって校長室に飾ってあるよ。(笑)

かえる
うれしい!(笑) 
あの時はきてくださっていた商店街の方々も喜んでくれていましたね。

五味先生
あの取り組みを通じて、この人たちには、教員にはない「視点」と教員にはできない「生徒との関わり」をしてくれる人たちだなとすごい思いました。

本校の教育目標である「地域に貢献できる人材を育成する」を生徒も教員も大事にしています。だけど、この「地域に貢献する」は、簡単に口に出せるけど、実際は簡単ではない。
なぜかと言うと、その地域に根付かないといけない。根付くためには、地域を知って、自分とその地域を結びつけるような仕掛けがないと難しいなと思っていた。そこにかえる舎が現れて、いの一番にやってくれた。

五味先生
ポスターやカードなどの成果物はもちろんだが、生徒たちが取材を通して、地域の人たちと親密な関係になったり、本音が話せたり、地域からかけてくれる言葉が子供たちにとってはすごく新鮮で、こういう活動が引き続きできたらいいなと思っていた。

かえる
僕もあの発表会はとても良い時間だったと思っています!
同級生から「すごい」と言ってもらえる経験を学校の中で用意してもらったのは生徒たちにとっても良い成長の場でした。生徒たちが、発表後の控室で「終わっちゃったね」と少し寂しそうにしていたのが、何よりみんなが地域を楽しんでくれたんだなと感じれた瞬間だったような。

取り組みは継続させてこそ

五味先生
この取り組みは、すごく取り組み自体もよかったし、いろんな人から評価していただいた。
でもそれだけではやっぱりダメで、かえる舎が機能するには、富士吉田市がなければ機能しないし、富士北稜高校という学校がなければ、機能もしない。
でも、市役所と学校だけで手をくんでもダメ。富士吉田市の職員が学校で出向いてやるっていうのはえらいコストかかるし、かえる舎が動いた方がスムーズにすすむことが多い。
僕たち学校は、全員の生徒を対象にした授業の機会を一緒につくっていくことと、有志の生徒たちにもう一歩地域に足を踏み出してもらう、支援をした。
もちろん全員が地域の現場で実践できることが理想。だけど、小さな集団だったからこそ結果が出たと思っているよ。
だって、最初、あの子達だって、意識の高い生徒ではなかったよね?
「なんでおれたちはこんなことやるんだ。」ぐらいな感覚だと思う。

かえる
3分の2は、友達がいくから連れられてきたみたいな感じでしたね(笑) でも、そのチーム感最高でしたね!最初があの子たちで本当によかったです。

五味先生
そうそう。でもきっと連れられてきた彼らも、地域の人たちと会話をして、取材をする中がで、気持ちが変化した。そのことが僕はとても新鮮だった。

かえる
そうですね、だんだんいうことも変わっていきました。彼らが発する自分らしく地域に思いを馳せる言葉は、聞いている人の心を打ちますね。

五味先生
それって、今の日本社会にはすごく必要なことだと思っている。
個性を大切にすると言ってても、個性が表現できない。
学校も同じで、「学校の特徴だせ」とか「北稜らしさを出せ」っていわれて出しても、と、「いやでも…」と、ものすごく障害がある。
正直、かえる舎とやる中でもいろんな障害が出てきていたよ(笑)今だから言えるけど。

かえる
本当にたくさんおせわになりました。初めは何度も管理職の先生たちに事業の意義を伝える機会を五味先生に作っていただきました。
大事な場面、何度も話に行かせていただき、大変なことを五味先生とは一緒に乗り越えてきたマイメン(戦友)のような気持ちです。

五味先生
僕は、苦境にたった時に役に立たないと意味がない。
僕の仕事はかえる舎が学校の中で「こういうことをやったら生徒たちが絶対に輝く!」と言ったら、形にするのが仕事だから。

かえる
たのもしすぎませんか?

一歩ずつ積み重ねてきた実績

五味先生
「かえる舎の活動にやりたい!」という生徒がどんどんきてくれたら良いと思っていた。最初の頃は先生方にもお願いして、メンバーを集めた代もあったね。2017年に実施した、ふるさと納税のカードを作ったのは、先生が選ばれた代表メンバーだったよね?

ふるさと納税返礼品紹介カード製作の様子

かえる
そうですね。2016年は、初めてと言うこともあって、ものめずらしく「楽しそう!」ってノリが強い自主性が強いメンバー。2017年は、「この子は輝きそう!」と先生が勧めてくれたメンバーが多くきてくれました。僕らとしては、この2年間は本当に多くの学びがありました。何より、公教育の素晴らしさを感じましたね。
決して自分からは前に出ることが得意ではないけど、輝く生徒がいる。
そういう生徒は普段から接している先生たちじゃないとわからないですよね。
本当に多くの先生方に支えられて、ここまででこれたんだなと改めて感じます。

五味先生
そうだね、これまで良い先生方との出会いで勧めて来れた。校長先生がいて、僕がいたこと、かえる舎がきたこと、いい出会いがあった。
それが結果的に、いろんな覚醒を産んだ。
そういう人が集まっただけでなく、そこから実行にうつせたことがとてもよかった。
ふるさと納税カードなどね。

かえる
2018年になると、商業科の課題研究の授業を担当させてもらいました。280時間。(笑)
観光・情報・流通・会計とさまざまなコースがあるのですが、3年生になると課題研究という、より実践的な学びを得るための授業があります。その課題研究の企画コーディネート運営をかえる舎でやらせていただいたのは、かえる舎の革命だった気がします。

今も課題研究やらせていただいていますが、ちゃんと公教育の授業として取り組ませていただき、みんなに経験してもらえる機会を作ることができたというのができたことは一番尊いなと。

ふるさと納税感謝ツアー時の様子

五味先生
そうだ、あの年の商業の授業の「ふるさと納税の返礼品感謝ツアー」も印象的だった。
あれこそ、富士吉田とタッグを組んでやれた、と思う取り組みだね。
北稜らしさが出た取り組みだったと思う。

これからのかえる舎に期待すること

五味先生
そして、これから先どうしていくかが、難しいところ。
これまでは、勢いに任せて、新しいアイデアもあり、いろんなことができた。
5年、さあ、これからどうしていくか。

かえる
変化としては、服装が大人になりましたね、かえる舎。(笑)

五味先生
たしかに、二人の服装をみても、普通になってきた。(笑)
最初の頃はこんな人たちと仕事するのかってすごい思った。

五味先生
各先生たちも思うところあっただろうから、そういういろんなものを含めて、かなり僕のところでフィルターかけたよ(笑)

かえる
私たちも5年目になったので、次は「総合的な探究の時間」の中で、地域や生徒と総探ができるか。を大事なテーマとして取り組んでいきたいですね。
でも、やっぱり学校のサイズ感のすごい。250名は多いですね。

五味先生
人口も減って、学生も減る、社会の変化の速度はすごい。
そういう環境が変わる中で、どういうふうにかえる舎とやっていくかだよね。
でもやっぱり、個人的には、かえる舎に、うちの卒業生がもっと増えていくといい。
こういう取組をできる人が増えていくことが、これから大事。
そのためには、かえる舎が北稜との関わりを元に、大きくしてビジネス化していく。

かえる
ビジネス化。一番苦手なやつですね。(笑)
他の学校で実施する際には何が大事になると思いますか。

五味先生
教員の理解だと思う。
うちの学校だって最初は大変だったじゃない。
一つ一つ芯を持って決断し、教員に理解を促していく必要がある。
もちろん、私もいつまでもいるとは限らないからね。
いろんな繋がりもあって、教員と地域とタッグ組めたりするのはとても大事なことだよね。

かえる
地域の中でも活動を発表させていただく機会は多いですよね。
応援いただける機会があるのはとても励みになります。生徒より緊張してる(笑)

五味先生
パネルディスカッションなどいろいろな場を僕も経験させていただいてます。
みなさんと活動もできたのは、教員生活で、よかったことだなと思ってます。

かえる
迷惑の方が多そうですが(笑)

五味先生
そんなことはないよ。(笑)
先生たちとコミュニケーションっていうのは、これも、一長一短でできるわけではない。
長くやってきたからこそできることだよね。
環境を整えていくことをずっとしてきたから。
僕は総合的な探究の時間の主任だけども放牧している感じ。(笑)
「自分たちでやってみて!」という感じで、各学年の先生に預けているよ。
その都度、発表会や大事な時には僕も参加する。
安心安全の場づくりを先生たちにも作っている。
不安を持たせないというのも、上に立つ人として大事。
なんでも仕事を行う上でも、居心地いい場所でやりたい。
この年になって思うのは、もう目立ちたくない。(笑)
いろんな人のためになることはしたいけど、僕自身は透明人間でいい。
そういう人になりたいよね。
あとお茶タイムが大事。

かえる
わかる!(笑)
きづくとお茶やコーヒーが並んでますよね
あれが何でも話しやすい環境なんだよなあ

ボタン電池だってすごいんだよ

かえる
先生は生徒にどうなってほしいと思っていますか?

五味先生
地域に根ざし、この地域を盛り上げなくてもいいけど、
持続可能な社会までとは言わないし、目立つような発展もしなくていいけど、
この地域を消すことはなく、歴史や文化を引き継げる人になって欲しい。
地域を大切に思う気持ちを持って欲しい。
目立たないけど、やっていることは地域のためになっている。そんな人になって欲しいね。
北稜生は、不器用かもしれないけど、覚醒した時に大きな力を発揮する。
しかも、一人ではなく、複数人で発揮する。3人以上だとすごい大きな力をだせる人たちなんだよね。
友達が「それいいじゃん」って言ってくれる人がいると、つい盛り上がってしまう。
些細なことを喜びに変えて、エネルギーに変えられる。
ボタン電池みたいな生徒。
小さいエネルギーだけど、かなり大きな仕事ができる。

五味先生
工業の生徒には、製品の一番の大元の部品を作っているのだから、そういう仕事ができることに誇りをもちなさい。と伝えている。
それぞれの役割があるから、君たちの役割があるって話をする。
でも、いつだって、勉強できることも大事だけど、それよりも大事なことがあると思う。
ほんと、うちの生徒は人間らしくていいよね。